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石澤内科クリニック:石澤 晋


知っていると得する医学知識シリーズ
知っていると得する医学知識シリーズ
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① 診察の受け方のこつ

診察(聴打診)の受け方には、ちょっとしたコツがあります。患者さんがこれを知っていると、医師の診断の見落としを防ぎ、正確な診断を得ることができます。

座位の場合は、上半身裸が原則です。女性の場合でもブラジャーはとった方が賢明です。ブラジャーをしていると、聴診のときブラジャーが皮膚と擦れて、心臓の音を聞く妨げになります。のどの奥を舌圧子(ぜつあつし)で見る時は、口を大きく開け、舌を出さずに息を吸い込みます。舌全体をなるべく下の方に押し付け、のどの奥を良く見えるようにします。これをうまくできる人は、いやな舌圧子をのどに入れられなくて済みます。首の診察では、力を抜いて真正面を見ます。この時、上を向かないようにします。顎を上にあげると首の皮が張って、甲状腺やリンパ腺が触れにくくなります。胸の聴打診では、まず普通の呼吸をします。この時、医師は心音を聞き取ります。”深呼吸をして下さい”と言われたらなるべく大きな深呼吸を繰り返します。この時、医師は呼吸音を聞き取ります。大きく深い呼吸をすると、呼吸音の異常を発見しやすくなるのです。

臥位の場合は、全身の力を抜き上を向いて寝ます。足は曲げて立てます。口でゆっくり呼吸をして、腹部の力を抜きます。腹筋の力を抜いておなかを柔らかくして、腹部の診察をしやすいようにします。また、足のむくみや発疹をチェックしますので、ズボンやスカートは膝までまくっておきます。

診察では、全身の皮膚の色やむくみ、発疹などをチェックしますので、できるだけ裸になるのが良いのです。このため、診察時の服装はなるべく脱ぎやすいものとし、化粧はしないようにします。帽子、オーバー、セーター、マフラー、マスク、スカーフ、パンティーストッキング、ガードル、ウエストバンド、靴下、ネックレスなどは、診察をする前にあらかじめ脱いでおきます。

教養のある方ではあまり見かけませんが、米国野球のようにガムを噛みながら診察を受ける方がいます。口臭は大切な医学所見ですからガムや仁丹はいけません。胃腸の悪いとき、副鼻腔炎、肺膿瘍、腎不全、重症糖尿病のときなど、それぞれ特有な口臭があり、診断に役立つのです。
② 薬について

■薬の服用
薬(内服薬、飲み薬)は指示された量と服薬時間をきちんと守ることが大切です。自分で勝手に減量したり、服薬時間を変更してはいけません。薬は体の中で必要な濃度を維持しないと効果がありません。このために薬の量と服薬時間を守る必要があるのです。
薬を食後に服用するのは、その薬が胃を荒らすのを防ぐためです。とくに解熱鎮痛剤(ロキソニン錠、ボルタレン錠など)などの胃に刺激を与える薬では、食後の服用が指示されます。一方、胃腸薬では胃や腸に食べたものがない時の方が吸収が良く効果的なので、食間や食前に服用します。
また漢方薬には吸収の悪いものがあるので、やはり食間や食前に指示されることがあります。ある種の糖尿病の薬(グルコバイ錠、ベイスン錠、ファスティック錠など)でも、薬の効果をあげるために食直前に服用するものがあります。
薬は、水かぬるま湯で飲むのが無難です。日本茶にはタンニン酸が、コーヒーや栄養ドリンクの一部にはカフェインが含まれ薬の効果に影響することがあります。
服用時の水分の量が少ないと、薬が食道でつかえて食道炎を起こすことがあります。薬は十分な量の水やぬるま湯でのみましょう。
グレープフルーツは、いろいろな薬の作用を強くする働きがあるので注意が必要です(リスモダン錠、ジギトキシン錠、アンカロン錠、抗癌剤の一部など)。グレープフルーツを食べる時やグレープフルーツジュースを飲む時は、その是非を医師に確認すると良いでしょう。
錠剤やカプセルは、胃あるいは腸で溶けるように特別に作られていることがありますので、噛み砕いたりせず、そのまま飲み込みます。また、心臓薬の舌下錠(ニトログリセリン錠、ニトロペン錠など)やトローチ錠は口の中で溶かすもので、飲み込むと効果がなくなります。

■薬の副作用
薬の副作用を心配される方が多いのですが、実際はとても頻度の少ないものです。多くの薬は副作用がなく、御利益の方が圧倒的に大きいことを知っていることが大切です。
なるべく弱い薬をと言われる方がいますが、正しくありません。病気が軽ければ弱い薬(少ない量)で良いのですが、病気が重ければそれだけ強い薬(多い量)が必要となります。大切なことは、適切な薬を適切な量服用することが重要なのです。薬は多すぎても(強すぎても)、少なすぎても(弱すぎても)ダメなのです。
薬の副作用には2種類あります。一つはその薬の本来の作用が強く出る場合であり、もうひとつはその薬が体に合わない場合(薬剤アレルギー)です。たとえば、前者では、糖尿病剤が効き過ぎた時の低血糖や血圧の薬が効き過ぎた時のふらつきなどです。また後者では、解熱鎮痛剤や抗生剤が体に合わなくて出る皮膚の発疹などです。
本来の薬の作用が強く出る場合は、薬の量を減量すれば良いのですが、体に合わない時は、その薬を生涯避けなければなりません。

■医薬品と市販薬
医師が処方する薬を医薬品、薬屋さん(ドラッグストアー、薬店)で売っている薬を市販薬(OTC)といいます。医師が処方する薬は、その医療機関から直接受けとるか、処方せんを調剤薬局へ出して受け取ります。専門性の高い、抗生剤、向精神薬、睡眠剤、安定剤、ホルモン剤、糖尿病剤、高脂血症剤などは市販薬にはありません。市販薬は安全域の広い(効果が比較的弱い)、対症療法剤(頭痛に頭痛剤、熱に解熱剤など)が多く、病気を専門的に治療する薬はあまりありません。

■受診と薬
医療機関を受診するとき、現在服用中の薬があれば、医師に伝えましょう。調剤薬局などが発行する投薬の説明書や薬剤手帳を提示すると便利です。薬の名前が判らなければ現物を見せるのも良いでしょう。また体に合わない薬(体に発疹ができた、気分が悪くなったなど)があれば、そのことも伝えましょう。体に合わない薬が見つかったときは、その医療機関から薬の名前を聞いておくことが大切です。
薬の多くは肝臓のチトクロームP450という酵素(CYP)で代謝されます。薬の種類により、CYPの働きを抑えてしまう薬Aと、反対に働きを強くする薬Bがあります。CYPを抑制する薬Aは、他の薬Xの代謝を妨害するので、薬Xはなかなか代謝されず血液に残り、その作用が強くでるようになります。
一方、CYPを強くする薬Bは、ほかの薬Yの代謝を早めるので、薬Yはすぐに代謝されて、その作用が弱くなってしまいます。
このように薬同士が影響しあうことがあるので、医師はそれを考慮して処方をしています。ほかの医療機関からの薬を医師に報告する必要があるのはこのためでもあるのです。
薬同士の影響はその種類が多く、ここに列挙することができませんので、主治医に確認するのが最も良い方法です。
医療機関を受診するとき、妊娠中であれば、医師にその旨を伝えましょう。妊娠中はいろいろな薬が胎児に影響を与えるために注意が必要です。妊娠の2ヶ月の末から3ヶ月の末までは、胎児の体が作られるときなので、とくに大切です。
またレントゲン検査をできるだけ避けるためにも必要です。

ひとくちメモ1
(血圧の薬は一度のんだら止められないの?)

そんなことはありません。血圧の薬はいつでも中止できます。ただ中止をすると、もともと御本人がもつ高血圧の状態に戻ってしまいます。その高血圧をそのまま放置すると、将来、脳梗塞や心筋梗塞の原因となってしまいます。ですから、血圧の薬を使わざるを得ないのです。血圧の薬は高血圧を是正して、将来の恐ろしい合併症を防ぎます。血圧の薬自身は、麻薬のように一度のんだら止められなくなるものではないのです。麻薬のように服用量が次第に増えたり、中止することで、禁断症状がでるものではありません。のんでいる時だけ御利益があると考えれば分かりやすいと思います。将来、高血圧の原因を根本から治してしまう薬が開発されるまでの、取りあえずの治療薬と考えれば良いわけです。
病気の原因は治せないけれども、病気を改善することができる薬剤は高血圧の薬以外にも糖尿病の薬、高脂血症の薬など慢性疾患には多くあります。
③ 注射について

経口剤(内服薬、飲み薬)より注射のほうが良いということはありません。確かに、注射剤は経口剤に比べて効果は早く現れます。しかし、薬剤のすべてが血管を通して、直接吸収されるので、副作用も早く激しく出現するのです。このため、血圧が下がって意識を失うアナフィラキシーショックのような重い副作用は注射で多く見られます。医師が注射に慎重になるのは、このような理由があるからです。ですから原則として、薬が飲めない(内服できない)とき、治療が急を要するとき、その薬が注射剤しかない時などに限って注射をすることになります。
“このカゼを早く治したいので、注射うって下さい”と言われる方がおられます。本文にもありますが、カゼはインフルエンザと違って、その本体を治す薬がありません。あるのは、熱や頭痛を抑える薬だけです。だから注射をうっても早く治せるわけではないのです。第一、注射で早く治るなら医師は頼まれる前からうっています。医師はいつも、最善と考えられる治療をしようとするからです。
④ 検査について

検査(血液検査、超音波、CT、MRIなど)だけでは診断はできません。
診断で大切なことは、症状と患者さんのお話、そして体の所見なのです。この情報がないままに診断をしようとすることは、地図を持たずにジャングルで宝探しをするようなものなのです。なかでも大切なのは、病気の症状と患者さんからのお話です。これだけで80%以上の病気の診断ができるのです。

医師はほとんどの場合、症状と患者さんのお話だけから診断の見当がつきます。そして、その診断が正しいかどうか確認のために関連した検査をします。もし診断がひとつにしぼれない時は、鑑別に必要な最小限の検査をして診断をしぼりこんでいきます。ですから診断の見当もつけず、最初からいろいろな検査をするのは好ましい診断法とは言えません。検査が多いぶん患者さんに苦痛と費用の負担を強いることになるからです。症状、患者さんのお話、身体所見、検査などからの総合的な判断でのみ病気の診断はできるのです。ある検査が異常でも、それだけで病気の診断はできないのです。症状、患者さんのお話、身体所見を中心に考えて、それにいくつかの検査の異常値を加味してはじめて診断が下されるのです。

ところで、まったく症状も体の所見もない病気がたまたま見つかることがあります。症状も体の所見もない、初期のガン、慢性肝炎、脳動脈瘤などが、健康診断や人間ドックあるいは他の病気の検査で偶然見つかる場合です。この場合は意図せずにたまたま見つかるわけですから、医師の技量とはあまり関係がありません。健康診断や人間ドックの最大のメリットは、無症状、無所見(身体所見が無い)の病気を見つけることと言えます。もちろん健康診断や人間ドックで、すべての無症状、無所見の病気が見つかるわけではありません。その病気に関連した検査が含まれている必要があります。

例えば初期の子宮がんなら婦人科細胞検診が、脳動脈瘤ではMRAなどの特殊な検査が含まれていなければなりません。一般的に、健康診断や人間ドックは、症状が無い人のための大雑把な健康のスクリーニングなのです。ですから症状や所見があるときは、健康診断や人間ドックではなく、医療機関を受診するほうがはるかに無駄がなく適切な方法なのです。症状や所見に関連する検査を重点的にしてもらえて、かつ細かな配慮と治療が得られるからです。
⑤ ワクチンについて

いろいろなワクチン(予防接種)がありますが、その多くは小児期に接種します。自治体による公費の補助で接種できるワクチンと、個人の希望で接種するワクチン(有料)があります。自治体によるものはもちろんですが、個人接種のものもなるべく受けることが望まれます。

理由はワクチンの予防効果が確かであり、その病気が実際に罹患すると命に関わるか、大変重篤なものばかりだからです。ワクチンの副作用はきわめて稀なものですが、その御利益は計り知れないほど大きいのです。

副作用についてわかりやすくいうなら、飛行機が100%までは安全ではないことは誰でも知っていますが、ほとんどの人が利用していますし、電車も100%は安全でないことを知りながら、ほとんどの人が利用しています。ワクチンの副作用も似たような確率でしか起こらないことを考えれば理解しやすいと思います。

インフルエンザのワクチンは、65歳以上の高齢者では1回注射することになっています。以前は2回打ちでしたが、1回打ちと2回打ちで大きな差がなかったことから国が1回打ちとしたのです。これにならい、一般の方でも1回打ちとする医療機関が多くなりました。

このためか、ときどき1回打ちと2回打ちでは、どちらが良いかという質問を受けます。実際の効果は、1回打ちより2回打ちのほうが良いのです。しかし、2回打ちは1回打ちの2倍の効果があるわけではありません。1回打ちの効果が70%とすると、2回打ちの効果は85%くらいとなります。

インフルエンザワクチンは、免疫能力をもつリンパ球にインフルエンザウィルスの特徴を覚えてもらうわけですから、1回打ちより2回打ちの方が、しっかり記憶してもらえる分良いわけです。
⑥ セカンドオピニオンについて

セカンドオピニオン(SO)とは現在受けている医療の是非について、第三者医療機関の意見を求めることです。そのためには、治療中の医療機関に、現在までの経過や治療内容を記した文書やレントゲン、CTなどの資料を請求し、それをSOを受けてくれる医療機関に持参して意見を求めることとなります。これは、社会保険上も認められた制度であり、患者さんサイドはその費用を両医療機関に支払うことになります。

しかし、ここにいくつかの問題点があります。もともと、SOを求める患者さんサイドには、現行の医療行為に納得出来ない部分があったり、より高度な医療をもとめたいなどの理由があります。このため、患者さんサイドからは言い出しにくく、医療側からすれば信用されていない分、心中穏やかではなくなります。このため、ともすれば両者の関係がギクシャクしてしまうことがあるのです。

一方、SOを依頼される医療機関では、受け取った資料と患者さんサイドの訴えにそって検討し、意見を述べることとなります。しかし患者さん本人を実際に長い間診療しているわけではないので、治療中の医療行為を誤解して過った判断を下してしまうこともあります。判断する医師の力量や経験が大切なことはもちろんですが、このような医師を見つけることがまた難しいのです。また、現行の医療行為の不備や誤りを指摘することは比較的容易でも、患者さんサイドの無理解や非協力などにもとづく医療機関とのトラブルは発見しにくいものです。

あるデータによると、SOの85%は現行の医療行為に問題が無く、15%が何らかの改善が必要になるといいます。この15%の内訳は、医療側の説明不足や何らかの行き違いが多く、医療行為そのものの誤りは比較的少ないということです。

上記の問題点を考えると、医療機関からの資料を請求せずに、内密に他の医療機関に相談してみるのも一つの方法です。但しこの方法は、訴えが非専門的となり、正確な資料がないことから相談を受ける医療側も判断がしにくいという欠点があります。
実際にSOをもとめるには、このような問題点があるのです。
⑦ レントゲンの放射線量について

熱があり咳のひどい患者さんに<胸のレントゲンを撮ってみましょう>というと、<胸のレントゲンは、先月健康診断で撮りましたよ>と言われる患者さんがいます。診療コストより放射線の被爆量を考えてのことと思いますが、残念ながら先月のレントゲンはこの際役に立たないのです。症状は先月ではなく、いま出現しているからです。<転んで骨折をする前に、いくらレントゲンを撮ってもしかたないですよね>と言うとすぐに判っていただけます。

さて、被爆量についてですが、胸のレントゲン1枚が約0.3mGy(ミリグレイ)です。これに比較して、腹部CTでは11.0mGyで約36倍、頭部CTでは40.0mGyで約133倍、胃のレントゲン(バリウムによる胃透視)では70.0mGyで約233倍、注腸レントゲン(バリウムによる大腸透視)では150.0mGyで約500倍となります。このように腹部CTは胸レントゲンの36枚分、胃透視では実に233枚分となるわけです。胸や腹部の単純レントゲンではいかに被爆量が小さいか、またCTやバリウムの透視では、いかに被爆量が多いかが判ると思います。
もちろん被爆量が多い検査を避けると言う意味ではありません。被爆量の多い検査でも、必要な時には行わなければなりません。
⑧ がんを見つける血液検査はあるのですか?

隠れたがんを確実に見つける血液検査は現在のところありません。一部のがんで陽性に出る血液検査が開発され、腫瘍マーカーと呼ばれています。たとえば、AFPという腫瘍マーカーがあります。肝臓(肝細胞)がんで出現することが知られていますが、睾丸がんや絨毛がん(胎盤のがん)でも陽性に出ます。また、CEAという腫瘍マーカーでは、大腸がんのほか、膵臓がん、乳がん、肺がんでも陽性となります。このように腫瘍マーカーには特異性(あるがんだけに陽性となること)が乏しいのです。ですから、ある腫瘍マ―カーが陽性に出ても何がんであるとは診断できないのです。また肝臓がん であっても、AFPが陰性であったり、大腸がんであってもCEAが陰性となることがあります。つまり、鋭敏性(あるがんがあれば必ず陽性となること)にも乏しいといえます。すなわち、腫瘍マーカーは陰性であっても、がんがないとはいい切れない一方、陽性であっても、必ずがんがあるとは限らないということです。

このように、がんを診断するには不確実な腫瘍マーカーですが、がんの治療効果や再発を検討するときには、たいへん有用です。たとえば、あるがんの腫瘍マーカーが高値であるとき、治療後にその値が下がったり0になったりすれば、その治療の効果がその分だけ認められたことになります。また治療の後、腫瘍マーカーが再度上昇すれば、がんが再発したことがわかり、次の治療を速やかに開始することができるわけです。

数ある腫瘍マーカーのうち、PSAは前立がんに対して、かなり信頼度が高い血液検査です。PSAが4ng/mlを超えると前立腺がんの可能性が出てきます。しかし、4~10までは、前立腺炎や前立腺肥大でも見られ、グレーゾーンと呼ばれます。10を超えると、前立腺がんである確率が高くなります。
⑨ 最近、おなかの調子が悪いのでドックに行こうかな?

はっきりした症状がある場合は、ドックではなく、その症状や病気を扱う医療機関へ行くべきです。たとえば、おなかが痛かったり下痢が続いたりするのであれば、内科や消化器内科、消化器外科などを受診します。これらの医療機関では、症状に関連した検査を重点的に行い、すばやく診断をして治療もしてくれます。

症状がある場合は、すでに治療が必要なときです。ですから、すぐに診断と治療のできる医療機関に行くのが良いのです。人間ドックや健康診断は、症状のない人や健康と思われる人が受けて、健康のチェックをしたり、無症状の病気を見つけたりするためのものです。それゆえ、ドックでの検査は、一般的に、浅く広く行われます。

もちろん、ドックで治療はしません。訴えはないけれど、およそどのあたりに異常や病気がありそうだと見つけるためのものなのです。
⑩ 寿命と体重の話

天寿を全うするには、どのくらいの体重が良いのでしょうか?これを実証するために、90歳以上の長寿者ばかりが集められて、彼らの生涯の平均体重が身長別に分類されました。このようにして理想体重表ができました。長生きした人ばかりを集めたわけですから、この表は理論値ではなく真実なのです。ですから、元気で最も長生きをするには、この表に合った体重が望ましいということになります。

何センチメートルの人は何キログラムが良いのかを表から読み取るのですが、この表が手許にないとできません。そこで、この表がなくても、身長から理想体重を計算できる簡易式があれば便利です。

実は、この式がBMIの式なのです。すなわち、自分の身長(メートル)の2乗に22を掛けて理想体重(キログラム)を求めます。BMIの式は昔からあったのですが、たまたま理想体重表の予測式として役立ったわけです。

さあ、さっそく、みなさんの身長をメートルに換算したものを2乗して、22を掛けてみましょう。その体重でいれば、みなさんは元気で天寿を全うできるのです。
⑪ 高齢者の医学的特徴

高齢者では神経機能も老化するので、あらゆる反応が遅くなります。ですから、労働の後の疲れや足腰の痛みの出現も、1~2日遅れることがあります。いろいろな病気による発熱も、若い人に比べると、あまり高くなりません。微熱だからと安心していると、思わぬ重症であったりします。反応が遅いので、一般的に病気の治りも遅くなります。

心臓を除くすべての臓器は委縮して小さくなり、働きは衰えます。もちろん心臓の働きも衰えますが、高血圧などのために、サイズは大きくなるのです。すべての臓器が衰えるため、1つの臓器が病気になっても、他の臓器も同時に侵されることが多くなります。このために症状が多岐にわたり、おおもとの病気を診断することが難しいことがあります。意識障害が出ても脳が侵されているわけではなく、尿失禁が見られても膀胱に障害があるわけではないことがよくあります。

医学の目標は病気の治癒と延命です。しかし、高齢者の病気によっては、延命より苦痛をなくすことや、人間らしい生き方を尊重しなければならないこともあります。